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交通事故の用語集

交通事故の用語集

 
 
 
アジャスター [あじゃすたー]

保険会社の社員(保険会社の子会社や関連会社の社員も含む)の立場あるいは保険会社から委託を受けた立場で、自動車の物損事故による損害額・修理費用の査定、事故の原因・状況などの調査を行う方々です。

 
慰謝料 [いしゃりょう]

精神的な苦痛を金銭的に評価して支払われる賠償金のことをいいます。
傷害慰謝料、後遺症慰謝料、死亡慰謝料の3つに分けられ、おおよその基準は決められています。
傷害慰謝料(入通院慰謝料)は、事故日から症状固定日まで入院や通院をしなければならなかったという精神的苦痛に対しての慰謝料です。
後遺症慰謝料は、後遺障害等級が認められた場合、その後遺症が残ったという精神的苦痛に対しての慰謝料です。
死亡慰謝料は、交通事故被害にあった方が、事故が原因により亡くなられた場合、支払われる慰謝料です。
その他場合によっては、被害に遭われた方の近親者(両親等)の固有の慰謝料が認められる場合もあります。

 
逸失利益 [いっしつりえき]

交通事故被害に遭い、後遺障害が残存したり、死亡したりすることにより、事故前に比べて労働能力が低下・喪失します。
これに伴い、後遺障害や死亡ということがなければ将来得られるはずであった収入が失われることになります。
この、労働能力の低下・喪失により、将来発生するであろう収入の減少のことを逸失利益といいます。

 
運行共用者 [うんこうきょうようしゃ]

自動車を事実上支配し、自動車の運行によって利益を得る者のことです。
自動車を自ら運転することで運行を支配する場合だけでなく、他人に運転させて自動車を間接的に支配する場合も含みます。
自動車の所有者はもちろん、所有者から車を借りた人やレンタカーの営業主も運行共用者になります。
運行共用者は自動車損害賠償保障法3条により、自動車の運行で他人の生命や身体、財産を害した場合は、損害を賠償しなければならないと定められています。
これを運行供用者責任と呼びます。

 
運転補助者 [うんてんほじょしゃ]

自賠法2条に、他人のために自動車の運転または運転の補助に従事するものと定義されています。
車掌や助手など、運転手の運転の支配下で運転に関わり、補助に当たっている人たちが運転補助者に当てはまります。
助手席に同乗し、自動車が交差点で曲がるときに安全確認を行ったり、自動車がバックするときに後方の安全を確かめたりする人たちです。
自分のために自動車を運行するわけではないので、運行供用者にはならず、交通事故を起こしても自賠法3条の損害賠償責任はありません。
しかし、安全確認を怠ったなどの過失があった場合は、民法の不法行為責任に基づいて損害賠償責任を負うこともあります。

 
ADR [えいでいあーる]

英語のAlternative Dispute Relolution(裁判外の紛争解決手段)の頭文字をとってADRと呼びます。
ADRは、当事者間における交渉による解決と、裁判所における法律に基づいた解決(民事裁判)の中間の紛争解決手段という位置付けになります。
裁判をすることなく法的なトラブルを解消する方法です。
仲介、調停、あっせんなどさまざまな方法があります。
民事訴訟手続きをとらずに紛争の解決をしようと考えた当事者のために、公正な第三者が間に入って事案に即した柔軟な解決案を提示します。
交通事故のケースでは、紛争処理センターがこれにあたります。

 
カウント事故 [かうんとじこ]

保険を利用した事故のことです。
人を怪我させたり死亡させたりしたときの対人賠償保険、他人のものを壊したときの対物賠償保険、他車と衝突したときの車両保険など、事故が発生したときに利用すると、1事故につき1カウントされます。
事故のときの保険を利用すると、その翌年のノンフリート等級は3等級下がります。
次に契約するとき、ノンフリート等級は3等級下がっているため自動車保険の保険料が上がってしまいますから注意してください。
ただし、対人賠償保険とを利用してもその額が自賠責保険の限度内(傷害部分で120万円)であれば、カウント事故にはなりませんし、人身傷害保険や搭乗者傷害保険、弁護士費用保険などは保険を利用してもカウント事故にはなりません。
※各保険会社で取扱いに若干差がありますので詳しくはご契約の保険会社にお問い合わせください。

 
加害者請求(15条請求) [かがいしゃせいきゅう]

自賠責保険では、事故が起きたときに怪我を負った人が被害者、怪我を負わせたほうを加害者として扱います。
加害者は被害者の治療費などの損害賠償金を払う義務を負います。
そして、加害者は、損害賠償金を被害者に支払った後に、支払った損害賠償金を自賠責保険に請求します。
これが加害者請求です。

 
過失相殺 [かしつそうさい]

交通事故などの不法行為に関して、被害者にも過失(注意義務違反)があった場合に、被害者が請求できる損害賠償の額が過失割合に応じて減額されることをいいます。
加害者側に完全な過失により事故が発生した場合は、過失相殺はなされません。
交通事故における過失割合は、数多くの裁判例の蓄積の結果、交通事故の類型に応じて、ある程度定型的に考えられています。

 
加重障害 [かじゅうしょうがい]

自賠責保険における後遺障害については、自賠法施行令第2条2項に「加重障害」についての規定があり、後遺障害の認定実務上の解釈では、既に身体障害のあった者が、事故によって同一の部位に新たに加わった結果、障害等級表上、現存する障害が既存の障害より重くなった場合には、加重障害として評価されることとされています。
たとえば、第1事故による頚部由来の神経症状について既に14級が認定済みの場合、第2事故による頚部由来の神経症状が残存した場合、14級を上回る等級に該当しなければ、加重障害に該当しないことになります。
14級を上回る等級に該当すれば、加重障害に該当することになります。
加重後の後遺障害補償額から既に認定されている後遺障害補償額を差し引いて保険金が支払われます。

 
基礎収入 [きそしゅうにゅう]

休業損害や逸失利益の算定をする際に、その算定の基礎となる収入のことを基礎収入といいます。
基礎収入は、原則として被害者が事故当時に実際にもらっていた現実の収入になり、この収入は、事故前3か月の給与の平均、事故前年度の源泉徴収票に記載された年収及び納税証明書や課税証明書に記載された所得額などを根拠として算定されています。
ただし、被害者が、若年者である場合、交通事故時に就職活動中であった場合、家事に従事している主婦の場合など、上記の算定方法を機械的に適用すると、基礎収入が著しく低額となることがあり、これを防ぐため、公平の観点から、労働者の平均賃金(賃金センサス)に基づいて基礎収入を算定することもあります。

 
休業損害 [きゅうぎょうそんがい]

交通事故被害により、実際に労働することが出来ないことによって生じた損害のことをいいます。
実際に休業しておらず、有給休暇も取得していない場合は、収入が減少しているわけではないので、原則的に休業損害は発生しません。
また、交通事故当時に失業していた場合も同様です。
しかし、交通事故当時に就職が内定していた場合や、治療期間内に就職できた可能性が認められる場合には、休業損害が認められることがあります。

 
健康保険 [けんこうほけん]

雇用労働者およびその被扶養者の業務外の事由による病気やケガなどについて保険の給付を行う制度のことです。
交通事故による入院・通院でも健康保険を使用することができます。
交通事故の被害者にも過失がある場合や、加害者が任意保険に加入しておらず治療費が自賠責保険による補償の限度額を超えてしまうような場合は、健康保険を利用した方が良いかもしれません。

 
経済的全損 [けいざいてきぜんそん]

修理費が事故車両の交通事故時の車両時価額を超えてしまう場合のことを経済的全損と言います。
経済的全損の場合には、修理費ではなく、交通事故時の車両時価額に買替諸費用を含めた額から事故車両の下取価格を差し引いた金額、つまり買替差額が損害額とされます。
修理費が事故車両の交通事故直前の時価額を超えない場合は、原則として、修理費が損害として認められます。

 
後遺障害 [こういしょうがい]

交通事故により受傷した怪我が一定期間治療を続けても完治せず、医師により症状固定の診断を受けた時点で、残存している症状のことを後遺症といいます。
その後遺症が、後遺障害診断書などの資料に基づいて、後遺障害等級が認定されたものを後遺障害といいます。
この後遺障害等級認定は、損害保険料率算出機構が認定作業(調査)を行いますが、後遺症が残っているからといって、必ずしも後遺障害が認定されるわけではありません。

 
後遺障害等級認定 [こういしょうがいとうきゅうにんてい]

交通事故被害に遭った方の後遺障害が、自賠法施行令の定める等級のうち、どの等級に該当するのかを損害保険料率算出機構の内部組織である自賠責損害調査事務所(全国各地に設置されています)が、認定作業(調査・判定)を行うことを後遺障害等級認定といいます。
後遺障害の等級は、後遺障害の内容に応じて定められており、認定を受ける手続としては、まず医師に後遺障害診断書を書いてもらいます。
後遺障害等級認定には、任意保険会社が行う事前認定と、被害者(被害者の代理人)が行う被害者請求とに分かれます。

 
後遺障害等級の併合 [こういしょうがいとうきゅうのへいごう]

後遺障害が2つ以上残っている場合、重い方の後遺障害が該当する等級とされるが、下記の場合は、等級を次のとおりに繰り上げることをいいます。

①第13級以上に該当する後遺障害が2つ以上ある時は、重い方の後遺障害等級を1級繰上げる。
ただし、それぞれの後遺障害に該当する保険金額の合算額が繰上げ後の後遺障害の保険金額を下回るときはその合算額を保険金額として採用する。
②第8級以上に該当する後遺障害が2つ以上あるときは、重い方の後遺障害の等級を2級繰上げる。
③第5級以上に該当する後遺障害が2つ以上あるときは、重い方の後遺障害の等級を3級繰上げる。

 
高額診療 [こうがくしんりょう]

診療行為に対する報酬額が、特別な事情がないのに、一般的な診療費水準に比べて著しく高額なことをいいます。
治療関係費は、実際に要した実費全額が損害として認められるのが原則ですが、高額治療は、過剰診療と並んで、治療としての必要性や相当性が認められない場合に、その治療費は損害として認められないとされています。
この場合は、実際に治療を受けた被害者の方の負担になる可能性がありますので、注意が必要です。

 
高次脳機能障害 [こうじのうきのうしょうがい]

高次脳機能障害とは、頭部外傷を受けて意識障害を起こし、 脳失拡大や縮小等の過程を経て、その回復後に認知障害(記憶力障害、集中力低下など)や人格変性(攻撃性、幼稚性など)が生じた状態のことを言います。
高次脳機能とは、知識に基づいて行動を計画し、実行する精神活動のことです。
これには、知覚、注意、学習、記憶、概念形成、推論、判断、言語活動、抽象的思考などが含まれると言われています。
この機能に障害が生じる高次脳機能障害は、主に脳の損傷によって起こされる様々な神経心理学的症状のことを言います。
高次脳機能障害の場合の症状固定の時期は、交通事故後1年から2年を経過した時点が多いと言われていますが、個人差もあり、中には交通事故後半年程度で症状固定として後遺障害の申請をすることができるケースもあります。
また、高次脳機能障害の程度が重い場合、裁判所に成年後見の申立をして、家族等が法定代理人となる必要が生じることもあります。
このような場合は、成年被後見(被害者)自身では示談交渉や訴訟提起ができなくなるからです。

 
交通事故証明書 [こうつうじこしょうめいしょ]

交通事故証明書には、交通事故の発生日時、発生場所、当事者の住所・氏名、自賠責保険、事故類型(人身事故・物件事故)などが記載されています。
警察に届け出ていない事故の場合、交通事故証明書は発行されません。
また、事故当初は物件事故で処理され、後に人身事故に切り替える場合、警察用診断書を警察に提出しないと、事故類型の変更(物件事故から人身事故)はされませんので、ご注意下さい。
自動車安全運転センターの各都道府県事務所が発行業務を行っていますので、郵送、インターネットで申請、あるいは窓口で申請することにより入手することができますし、任意保険会社が既に取得していることもあるので、原本が必要でない場合は写しを請求しても良いと思います。
なお、交通事故証明書の発行期限は、人損事故は事故日から5年間、物損事故は3年間以内となりますからご注意ください。

 
交通事故紛争処理センター [こうつうじこふんそうしょりせんたー]

交通事故紛争処理センターとは、交通事故の加害者側と被害者側の間で損害賠償などの問題で交渉が難航した場合、公正かつ中立の立場で同センターから嘱託を受けた弁護士が双方の言い分を踏まえた和解の斡旋等を行う公益法人です。
1974年にセンターの前身である交通事故裁定委員会が発足しました。その後1978年に組織を拡大し、財団法人交通事故紛争処理センターに発展しました。
交通事故紛争処理センターは、交通事故を専門に、中立かつ公正な立場で解決する機関として全国に10箇所設置されています。

 
交通調停 [こうつうちょうてい]

交通事故の示談がうまく進まないときに被害者が法的手続きを取るときに使う方法ののひとつに民事(交通)調停があります。
示談と訴訟の中間に位置する手続きになります。
裁判所の調停委員が被害者と加害者の間に立ち、解決策をまとめます。
調停で解決策がまとまれば、その内容をもとに調書がつくられ加害者が約束どおり支払わなかった場合に強制執行ができますが、調停がまとまらない場合は、不成立となり、調停手続きは終わります。
加害者が任意保険に加入しておらず、調停委員に加害者を説得してもらいたいときなどに、調停を利用すると効果的な場合もあります。

 
裁判上の和解 [さいばんじょうのわかい]

交通事故で被害者と加害者の主張に隔たりがあって、話し合いでの解決が難しかった場合、損害賠償問題を解決するために民事訴訟を提起するという方法があります。
裁判上の和解は、訴え提起前の和解と訴訟上の和解とに二つに分かれます。
訴訟中に裁判官が和解を働きかけ、双方が同和解に応じれば、裁判上の和解が成立します。
民事訴訟法267条により、裁判上の和解が成立すれば、その内容は和解調書に記載され、その記載された内容は判決と同じ効力を持ちます。

 
事故発生状況報告書 [じこはっせいじょうきょうほうこくしょ]

事故発生状況報告書は、自賠責保険会社は任意の保険会社に自賠責保険の請求をする場合に必ず作成しなければならない書類です。
この書類に基づいて事故の過失割合が決定しますから、賠償金額に大変大きな影響を与える書類です。
事故の被害者や加害者は、事故の発生状況を道路状況や略図、文章などを用いて説明します。
過失の有無やその程度を判断するための大事な資料になるものですから、詳しく誤りのないように記入して提出しなければなりません。

 
事前認定 [じぜんにんてい]

事故による怪我の後遺症が残った場合、加害者側の任意保険会社が被害者に代わって必要な資料をそろえて、自賠責損害調査事務所に等級認定の手続きをしてくれます。
これを事前認定と言います。
被害者が自分で資料を集める手間が省ける大変便利な制度ですが、加害者側の任意保険会社が被害者に適正な認定がおりるよう積極的にアドバイスしてくれることはありません。
適正な評価が得られず、等級は実際より低く出てしまうかもしれない可能性があります。

 
示談 [じだん]

交通事故などが発生した場合、加害者と被害者が損害賠償金や支払い方法など賠償金額について話し合い、その結果解決すること示談といいます。
交通事故の示談交渉の場合、被害者は損害賠償金額を算定し、その証明もきちんととっておかなければなりません。きちんと準備できていれば、示談のときに不当な賠償金額になってしまう危険は避けられるでしょう。
示談は、互いの合意によって定められた契約ですから、いったん合意すると変更はできません。しかし、合意に至った後に、合意時に予期できなかった後遺症を発症しこれが事故と因果関係のある後遺障害と認められた場合は、この後遺障害に関する損害も請求できます。

 
示談金 [じだんきん]

示談金とは、被害者と加害者が話し合って賠償額を定め、金額の授受を行ったそのお金の事を指します。示談金の内訳は、治療費、通院交通費、休職を余儀なくされたとき休業損害、慰謝料など損害のすべてが含まれています。
近年では、示談交渉を当事者同士で行うことはほとんどなく、けがが完治したり、後遺症に対して認定結果が出た後に、加害者側の保険会社から被害者に対し、書面で示談金が提示されます。
特に慰謝料は、自賠責の基準、任意保険の基準、弁護士基準というように、その算定基準が多岐にわたる損害であるため、提示された金額が妥当か否かの判断は難しいといえます。
そのため、被害者は、保険会社から示談金が提示されたときは、一度、弁護士に相談したほうが良いでしょう。

 
示談書 [じだんしょ]

交通事故が起きた場合、加害者と被害者が話し合って、損害賠償額や支払い方法などを定め、交通事故を示談で解決します。示談の内容を書面にして残したものを示談書といいます。
被害者、加害者双方の住所や氏名、車両の登録番号、事故の日時と場所、過失の割合、物損、人身損害額などが記載されています。
被害者と加害者の双方が書面のないように合意すれば、署名捺印します。
示談はこれで完了となります。後々のトラブルの元にならないよう、当事者の署名や捺印などは必ず忘れないようにしましょう。

 
実況見分調書 [じっきょうけんぶんちょうしょ]

人身事故の場合、警察は刑事事件として現場検証を行います。
事故の被害者と加害者が立会い、警察が現場検証の結果を書面に表したものを実況見分調書といいます。
実況見分調書には、見分日時、場所、立会人の名前、路面の状態など道路の状態、事故の車両の損害部位や程度などの表記、相手を発見した地点やブレーキを踏んだ地点の説明を含む立会人の指示説明が記載され、交通事故の現場見取り図や写真なども添付されています。
実況見分調書を見れば事故の状況がわかるため、示談や裁判においても重要な証拠となります。

 
自賠責保険 [じばいせきほけん]

正式名称は自動車損害賠償責任保険で、自動車や原動機付自転車の所有者と運転手に加入が義務付けられている強制保険です。
事故の被害者の怪我や死亡に対して賠償金が支払われます。対人賠償に限られているため自動車の破損は対象外です。加害者が加入している損害保険会社などに被害者は直接保険金を請求できます。
加害者が賠償金を支払う能力がなくても被害者は自賠責保険から決められた限度額以内の賠償金を受け取れます。
事故が起きたときに被害者を救済することを目的にした保険です。

 
死亡逸失利益 [しぼういっしつりえき]

死亡逸失利益とは、交通事故で被害者が死亡した場合、その事故に遭わなければ被害者が得られただろうと思われる収入、つまり死亡事故によって被害者が失った収入を指します。
死亡逸失利益には計算式があり、年収×(1-生活費控除率)×就労可能期間に対応するライプニッツ係数になります。
死亡逸失利益の場合は生活費として必要な部分は控除されます。
また就労可能年数は、67歳までとするか、平均余命の半分の年数か、いずれか長いほうを選んで計算されます。

 
就労可能期間 [しゅうろうかのうきかん]

就労可能期間は、交通事故による逸失利益を計算するときに使われる概念です。被害者が死亡した場合、事故に遭わなかったらあとどのくらいの期間働けたかを指します。
裁判実務において、原則で67歳までが就労可能期間と定められています。
67歳より前に定年が来たとしても67歳までは再就職して働くだろうという考えです。
被害者が高齢者である場合は、平均余命の2分の1が就労可能期間となります。
被害者が未成年者である場合の就労可能期間は18歳から67歳までの49年間となります。

 
症状固定 [しょうじょうこてい]

交通事故で負傷して治療を続ければ症状は改善していきますが、ある時期から症状が一進一退となることがあります。
医学的に妥当と思われる期間が経過し、これ以上治療を続けても大幅な改善を見込めず、残存した症状もこのまま長時間続くだろうと見込まれたとき、医師は症状固定と判断します。
症状固定後は、傷害部分である治療費や休業損害については請求することはできなくなります。
残存した症状が、後遺障害として認定されれば、逸失利益と後遺障害慰謝料が損害賠償の対象となります。

 
将来介護費 [しょうらいかいごひ]

交通事故によって重度の後遺障害が残り、医師の指示、または症状の程度により症状固定後も将来にわたって介護が必要だと認められた場合、将来介護費が支払われます。
将来介護費の計算式は、(年間の基準額)×(生存可能期間に対するライプニッツ係数)です。
具体的な金額ですが、職業付添人であれば実際に支払った介護料の全額、近親者付付添人であれば一日8000円程度の賠償が認められています。
生存可能期間は構成労働者が作成している簡易生命表の平均余命によって算定されます。

 
消滅時効 [しょうめつじこう]

交通事故のような不法行為の場合、損害賠償の請求権は、事故の被害者、被害者が未成年の場合は親などの法定代理人が加害者を知ってから、または損害額が決定してから3年で消滅時効になります。
交通事故日から起算するわけではありませんが、ほとんどのケースでは事故日からの起算となります。
交通事故は時効の中断が認められます。
請求、差押えや仮差押え、仮処分、承認により時効の進行は抑えられます。
被害者の請求で加害者が損害の一部を支払った場合、時効は中断し、時効の中断から新たな時効が進行します。
※後遺障害に係る損害は、症状固定の日から3年を経過した時点で消滅時効にかかります。

 
消極損害 [しょうきょくそんがい]

消極損害とは、交通事故にあわなければ将来得られただろう収入の喪失のことで、休業損害と逸失利益の二つに分かれます。
休業損害は、交通事故の治療のために仕事を休んでいる間に得られたはずの収入です。事故前の働き方で算定は異なります。
事故で休職している間も給料が支給されている給与所得者の場合は、消極損害が発生しているとはみなされません。
逸失利益は交通事故がなければ将来得られていただろうと思われる利益です。
後遺障害により労働能力が喪失され、それに伴って収入が減少して失われた利益を指す後遺症逸失利益と生きていれば得ただろう収入を指す死亡逸失利益の2種類に分かれます。

 
生活費控除率 [せいかつひこうじょりつ]

交通事故で被害者が死亡したとき、事故にあわなかったら得られただろう逸失利益が認められます。
被害者は亡くなっているため、将来にわたって生活費を支出する必要がなくなりますので、その支出を免れるであろう部分を逸失利益から一定の割合で控除することになります。
この割合が生活費控除率です。
被害者が一家でどのような立場にいたかによって、収入の中で生活費の占める割合は異なります。
生活費控除率は、被害者の家庭内における地位に応じて異なり、おおむね30%から50%の間とされていますが、年金生活者については、その年金は生活のためにほとんど支出したであろうとの理由から、生活費控除率は通常より高くなる傾向にあります。

 
成年後見 [せいねんこうけん]

被害者が自身で示談や裁判などを行うことができない場合、家庭裁判所がが後見人(親族や弁護士など)を選任しますこれを、成年後見といいます。
交通事故の加害者や保険会社を相手に訴訟や和解を行いたい場合、被害者本人が経済的・合理的な判断能力を有していなければこれを行うことができません。
被害者が遷延性意識障害、つまり植物状態になってしまった場合は、被害者本人にはこのような判断能力ががありません。
そこで、親族等が、家庭裁判所に成年後見人の選任を申し立て、選任された成年後見人が、被害者の法定代理人として訴訟や交渉を行うことになります。

 
積極損害 [せっきょくそんがい]

積極損害は、交通事故に遭ったがために被害者が出費しなければならなかった損害をいいます。
たとえば、医師による診察費や治療費、入院費、葬儀費用、介護費用、通院するための交通費などです。
後遺障害が残った場合、症状固定後も将来にわたって確実に出費が発生するものとして、治療費や通院するための交通費などが積極損害として認められることもあります。

 
素因減額 [そいんげんがく]

交通事故の被害者が持病(素因)を持っていたために症状が悪化し、治療が通常発生するだろうと思われる損害の程度と範囲を超えて長引いた場合、その損害拡大部分については、公平の観点から、被害者の自己負担とし、損害賠償額から減額されることがあります。
これを素因減額と言います。
素因減額の部分は損害賠償の対象にはなりません。
素因には、被害者が痛みに対して過剰反応しているなどの心因的要因と、もともとの疾患のために治療が長引いているなどの身体的要因にわかれます。

 
相当 [そうとう]

価値や働きの程度がその物事にほぼ等しくつりあっている場合を相当と呼び、同一系列にある複数のものをまとめてひとつにし、相当として格付けします。
交通事故の被害者が加害者に対して損害賠償を請求する場合、交通事故でこのような加害者の過失行為があれば、そういう結果になるのは相当である、と通念上認められる場合は、事故と損害との間に相当因果関係があることになり、損害は認められますから被害者は損害賠償が請求できます。

 
葬儀関係費 [そうぎかんけいひ]

葬祭費、供養料、弔問客の接待費などの葬儀に掛かる費用だけでなく、その後の四十九日や百箇日の法要や供養等を行うために必要な費用、仏壇仏具の購入費、墓碑建立費などは葬儀関係費と呼ばれています。
葬儀関係費は相当なものであれば賠償することが認められています。
実務上は150万円以上の費用が掛かれば、150万円の上限で損害として認められます。
支出した額が150万円を下回れば、実際に支出した金額が損害として認められます。

 
訴訟 [そしょう]

訴訟とは裁判による解決を指します。紛争が起きた場合に当事者以外の第三者を関与させ、その第三者に判断を仰いで紛争を解決しようという方法です。
加害者と被害者おのおのが代理人として選んだ弁護士が言い分を主張し、裁判官が結論を下します。
裁判官が途中で和解を勧告し、両当事者が同意することもあります。
交通事故の場合、訴訟は最終手段です。
和解や判決の内容に加害者が従わずに賠償金を払わなかった場合は、強制執行を取ることも可能です。

 
損保料率機構 [そんぽりょうりつきこう]

損保料率機構は損害保険料率算出機構の略称です。
損害保険業の健全な発達と保険契約者たちの利益の確保することを目的とし、2002年に損害保険料率算定会と自動車保険料率算定会とが統合してできた非営利の民間の法人になります。
自動車事故の自賠責保険金の支払いの最終的な決定権は自賠責保険会社が握っていますが、保険金の金額は損保料率機構の損害調査の結果を元に決定するため、被害者の受け取る賠償金の金額は、損保料率機構の調査の結果にかかっていると言えるでしょう。

 
他覚症状 [たかくしょうじょう]

自賠責後遺障害診断書には自覚症状と他覚症状の欄があります。
他覚症状とは、発疹や黄疸、出血など、医師、または被害者本人以外の人が見ることのできる症状を指します。
レントゲンやMRIなどの画像上の所見だけでなく、理学的検査や神経学的検査、臨床検査によって認められた異常な所見も他覚症状に含まれます。

 
調停 [ちょうてい]

調停は示談と訴訟の中間にあたります。裁判所が設置する調停委員が間に入り、加害者と被害者が譲り合いながら合意し、問題を解決に導きます。
加害者と被害者双方の合意内容を記載した調停調書は判決と同じ効力を持つため、強制執行を行うことも可能です。
弁護士をつけなくてもよいので裁判よりも安価にすむ解決法です。
しかし話し合いでの決着ですので、両者の主張がまったく異なる場合は調停での解決は困難でしょう。
弁護士を代理人にすれば別ですが、調停には本人が出て行かなければなりません。

 
治療関係費 [ちりょうかんけいひ]

交通事故の場合、治療費、入院費、鍼灸、マッサージ費などは治療関係費に含まれます。
治療費として認められる費用は、病院などの医療機関に払った治療に必要だと判断された実費です。高額診療や過剰診療の治療費は損害として認められません。
また、鍼灸やマッサージなどの費用ですが、医師の指示を受けて行っていれば損害として認められることが多いですが、医師の指示や同意を受けていない場合は損害としては認められません。
治療関係費を請求するには請求書や領収書が必要になります。

 
賃金センサス [ちんぎんせんさす]

賃金センサスとは、日本における労働者の賃金水準を表した、最も規模の大きい統計資料を指し、賃金構造基本統計調査とも言われています。
主要産業に雇用される常用労働者の賃金の実態を調べています。
労働者の種類、職種、性別、年齢、学歴、勤続年数、経験年数などを明らかにし、日本の賃金構造の実態を詳細に把握するために昭和23年から毎年実施されている調査です。
自動車事故の場合、被害者の逸失利益を計算するときにこの賃金センサスのデータが参考にされることがあります。

 
定期金賠償 [ていききんばいしょう]

事故の賠償金を払うとき、一括して払う一時金に対し、賠償金を定期金として毎月定額で支払う方法の賠償を定期金賠償と呼びます。
定期金賠償は、たとえば一か月に30万円という支払い方になります。障害を抱えている限りは月30万円、生存する限り月50万円といったように、金額の総額でなく期限に制限をつけた払い方になります。
融通がきく方法ではありますが、加害者は継続して支払い続けてくれるのか、という問題もあり、現在ではあまり使われていない方法です。

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    入院雑費 [にゅういんざっぴ]

    入院中は、寝具や衣類などの日用雑貨費、電話代等の通信費、新聞代などの文化費などの諸々の費用がかかり、その費用のことを入院雑費と言います。
    個々の費用について、必要性や相当性を立証・判断することは煩雑なため、裁判基準では、入院日数×1,500円(事故年や事故場所によって異なります。)と定額化されています。

     
    入通院慰謝料 [にゅうつういんいしゃりょう]

    病院に入院・通院したことにより受けた精神的苦痛に対する慰謝料のことをいい、傷害慰謝料ともいいます。
    入通院慰謝料を算定する際に用いられる算定基準は、自賠責保険基準、任意保険基準、裁判基準があり(自分で好きな基準を選べるわけではありません。)、実際に治療のために要した入院日数と通院期間に基づいて、算定されます。
    また、特別な事情がある場合は、増額修正されることもあります。

     
    任意保険 [にんいほけん]

    自賠責保険は、加入が強制される保険ですが、それとは別に、自賠責保険ではカバーできない損害の補償を受けるための、加入が強制されない、任意で入る保険のことです。
    契約の種類によって、補償を受けられる条件・金額・範囲が変わってきますので、一度ご自身が加入されている任意保険契約の内容を確認されてみてはいかがでしょうか。

 
被害者請求 [ひがいしゃせいきゅう]

自賠責保険には、加害者請求と被害者請求があります。被害者請求は、被害者が、加害者の加入している自賠責保険会社に対し、直接損害賠償金の支払いを請求する方法です。
治療費など当座の費用が必要なときは、被害者から仮渡金制度を利用して請求することができます。
以下?? 傷害においても、被害者が治療を継続していて損害額が決定していなくても、すでに損害額が10万円を超えている場合は、傷害による損害保険金額である120万円に達するまでは10万円単位で内払い金を請求することができます。

 
紛争処理機構 [ふんそうしょりきこう]

紛争処理機構は、2002年4月1日に民営化された自賠責保険に伴い、自賠責保険の支払いに関して被害者や自賠責保険加入者と自賠責保険会社との間で紛争が起きた場合、公正かつ的確な解決で被害者を保護する指定紛争処理機関=ADRとして発足しました。
自賠責の調査事務所による後遺障害等級認定の判断に納得ができない場合、被害者は1回の事故につき1回限り紛争処理機構の判断を仰ぐことができます。
紛争処理機構の調停結果に不服があっても再度の申請はできませんので、その場合は交通事故の加害者などを相手にして民事訴訟を提起することになります。

 
弁護士費用特約 [べんごしひようとくやく]

任意保険の契約者、その同居の親族ならびに別居の未婚の子などが車の事故に遭った場合、弁護士に相談したり損害賠償請求を行う費用を保険会社が負担するという任意保険の特約を、弁護士費用特約といいます。
詳細は各保険会社によって異なりますが、弁護士費用は最大300万円程度、法律相談費用は10万円程度とされていることが多いです。
もらい事故などの契約者にまったく過失がない事故の場合、示談交渉など弁護士にかかる費用を、弁護士費用特約を使って払えば、被害者の負担を大幅に減らすことができるようになります。

 
保佐 [ほさ]

認知症や精神障害、知的障害などによって本人の判断力が不十分で援助が必要だった場合、本人を保佐する保佐人をつけることができます。
本人は援助があればある程度は自分で判断ができる、とされているため、法律では保佐人の同意を得ることを要する行為が定められており、その範囲内では保佐人の同意がなければ決められません。
家庭裁判所は保佐人に特定の行為の代理権を与えられますが、代理権が必要かどうかは本人が判断するので、保佐人が代理権を得るためには本人の同意が必要です。

 
補助 [ほじょ]

本人が認知症や精神障害、知的障害などにより判断能力は多少不足していても、基本的には物事の意味がわかり、契約の内容もわかる場合、本人を補助する目的で補助人をつけることができます。
補助を受ける本人は保佐を受ける人よりも判断能力が高いため、補助する程度は後見や保佐に比べて低くなりますが、本人の自由がその分多く認められています。
本人の同意が得られれば、補助人は保佐人の代理権の一部である特定の行為のみ代理権が与えられます。

 
ホフマン方式 [ほふまんほうしき]

交通事故で死亡したり後遺障害が発生したりした場合、その逸失利益を算定する際の中間利息の控除の方法のひとつがホフマン方式です。
将来の逸失利益を一時的に現在支払う場合、被害者が不当に利息相当分を得ないように、中間利息を控除します。
ホフマン方式は、単利法を用いて利息を控除します。
ホフマン方式には新旧2種類あり、旧ホフマン方式は弁済期間中の利息をまとめて控除する方式ですが、新ホフマン方式は弁済期ごとに控除する方式になっています。
被害者にとっては、新ホフマン方式のほうが有利です。

 
民事責任 [みんじせきにん]

民事責任とは、交通事故で加害者が被害者に与えた損害を金銭で賠償しなくてはならない責任を指します。
人を怪我させたり死亡させた人身事故の場合は、民法709や自動車損害賠償保障法3条に基づいて責任が発生します。
自動車など物を壊した物損事故の場合は、自動車損害賠償保障法は適用されないため民法に基づいて責任が発生します。
賠償しなければならないものには、治療費や通院交通費だけでなく、事故に遭わなければ得られただろう収入、事故による精神的苦痛に対する慰謝料も含まれます。

 
むち打ち症 [むちうちしょう]

むちうち症は、正式名称を外傷性頸部症候群といいます。
自動車事故によって首やその周辺に打ち身や捻挫、があった場合をむち打ち症と呼びます。
レントゲン等に異常所見がないことがほとんで、医師によってもその程度等を他覚的な所見をもとに診断することが難しく、ほとんどが被害者の愁訴(自己申告)をもとに診断されています。
損害額(通院慰謝料)を算出する際、症状が他覚的所見のないむち打ち症だけ場合は、他の症状と異なる算出方法が用いられます。
事故の衝撃の程度、通院の期間・頻度、治療の内容、残存した症状等によっては、後遺障害として認められる場合もあります。

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ライプニッツ係数 [らいぷにっつけいすう]

交通事故の逸失利益を算出するとき、将来の利息による増額分を推定し、あらかじめ中間利息控除を行います。
年数に応じて中間利息控除の係数が用意されていますが、途中で発生する年5%の利息を複利計算した係数をライプニッツ係数と呼びます。
裁判において、単利計算した係数であるホフマンとライプニッツ係数のどちらをとるかは統一されていませんでしたが、平成11年に東京、大阪、名古屋の地方裁判所から共同提案が出され、現在ではライプニッツ方式のほうが主に用いられています。

 
労働能力喪失期間 [ろうどうのうりょくそうしつきかん]

労働能力喪失期間とは、交通事故の後遺障害によって、将来何年間にわたって労働に影響が出る期間を指します。
症状固定が始まりで、終わりは原則的に67歳です。被害者が未成年の場合は18歳から67歳までとなります。
症状が固定してから67歳までの年数が平均余命の2分の1より短い場合は、症状固定から平均余命までの2分の1の期間がそれに当てはまります。
定型化されているものではないので、事案に応じて職種、地位、健康状態などが判断されることもあり、むち打ち症の場合は労働能力喪失期間が限定されることが多いです。

 
労働能力喪失率 [ろうどうのうりょくそうしつりつ]

交通事故で後遺障害が残った場合、その後遺障害によって将来どの程度労働能力が失われたか、その割合のことを労働能力喪失率と呼びます。
後遺障害がない人の労働能力を100%とすると、交通事故で寝たきりの状態になった場合の労働能力は0%となります。
後遺障害の程度に応じて第1級から第14級まで等級があり、それぞれの等級別に14級は5%、10級は27%、5級は79%などと定められています。
裁判では、上記割合を参考にしながら、被害者の職業、年齢、性別、後遺障害の程度などを具体的かつ総合的に判断して、労働能力喪失率が認定されます。

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